昨今は飲食店をはじめ、さまざまな場所で無線機が活躍しています。無線機にはいくつか種類が存在しますが、そのなかでもおすすめしたいのがIPトランシーバーです。

本記事では、IPトランシーバーの利用を検討している方向けに、IPトランシーバーの特徴をはじめ、どのような種類があるかについて解説します。また、IPトランシーバーを購入する場合とレンタルする場合、それぞれの費用相場もまとめて取り上げるため、ぜひ参考にしてください。

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IPトランシーバーとは

IPトランシーバーとは

IPトランシーバーとは、携帯電話の通信網を使用して通信を行う無線機のことです。以下では、IPトランシーバーの仕組みをはじめ、具体的な通信距離について解説します。

仕組み

まずは、IPトランシーバーの仕組みについて解説します。IPトランシーバーは、携帯電話網やWi-Fiを利用して電波の送受信を行う無線機です。

簡易業務用無線をはじめとするIPトランシーバー以外の無線機は、端末自体が発する電波で送受信を行います。基地局を経由しないことで通信の独立性を確保し、山岳地帯をはじめ基地局が利用できない環境でも通信が可能です。

一方で、基地局を介さないタイプの無線機は、送信できる電波の周波数に限りがあります。グループ単位で無線機を使用したくても、電波の周波数の制限が原因でグループの数が制限されてしまうケースも少なくありません。

しかし、IPトランシーバーは従来の無線機と異なり、携帯電話網やWi-Fiを利用して通信を行います。そのため、1,000におよぶチャンネル設定、およびグループ分けが可能です。

通信距離

無線機を使用するにあたって、どの程度の距離まで通信ができるかは重要なポイントです。通信できる距離は無線機の種類によって異なります。たとえば、特定小電力トランシーバーの場合は200~1,000m程度ですが、周辺環境によっては100m程度で通信ができなくなるケースもあります。

一方のIPトランシーバーですが、なんと通信距離の制限がありません。仕組みの説明をする際にも言及しましたが、IPトランシーバーは携帯電話網やWi-Fiを利用して通信を行っています。

そのため、携帯電話のインターネット回線が利用できる範囲であれば、日本全国どこにいても通信が可能です。通信できる範囲の広さは、IPトランシーバーの特徴であり強みのひとつでもあります。

この通信距離を理由に、IPトランシーバーの導入を決める方も少なくありません。

IPトランシーバーのメリット・デメリット

IPトランシーバーのメリット・デメリット

IPトランシーバーは、ほかの無線機にはない、さまざまなメリットとデメリットが存在します。IPトランシーバーの導入をするか否かは、両者を比較したうえで決定した方が後悔しにくいです。

以下では、具体的なIPトランシーバーのメリット、そしてデメリットについて解説します。

メリット

まずは、IPトランシーバーのメリットについて解説します。主なIPトランシーバーのメリットは、以下のとおりです。

  • ・エリアが広い
  • ・混信しにくい
  • ・免許がいらない

それぞれのメリットについて、以下で詳しく説明します。

メリット1:エリアが広い

IPトランシーバーのメリットのひとつとして、通信範囲の広さが挙げられます。無線機をはじめとする通信機器を利用するにあたって、どの程度の範囲まで問題なく使用できるかは重要なポイントです。

もし音声がクリアに聞こえる、複数人と会話ができるなど、さまざまな高性能な機能が備わっている通信機器があったとしても、半径数十メートルの範囲でしか使用できなければ、活躍の場面は相当限られてしまいます。IPトランシーバーの場合、携帯電話の電波が届く範囲であればどこでも通信が可能です。

通信範囲の広さは汎用性の高さにも直結するため、このメリットは多種多様な無線機のなかからIPトランシーバーを選択する十分な理由になるでしょう。

メリット2:混信しにくい

混信のしにくさも、IPトランシーバーのメリットです。無線機をはじめとする通信機器に発生しやすいトラブルとして、混信が挙げられます。

混信とは、無線機で電波の送受信をした際に同一周波数や隣接周波数の電波がぶつかり合ってしまい、正常な送受信ができなくなることです。混信が発生すると、通信が停止し、円滑な意思疎通ができなくなります。

とくに深刻なのが、第三者による傍受および盗聴のリスクが高まることです。企業の利益に影響を与える可能性もあるため、混信は必ず防がなければなりません。

IPトランシーバーには、それぞれ識別番号であるIPアドレスが割り振られています。そのため、IPアドレスを持っている機種間でしかやり取りできないため、混信の心配もほとんどありません。

また、音声信号がデータ通信化されるおかげで、セキュリティ面も安心です。

メリット3:免許がいらない

免許が必要ない点も、IPトランシーバーのメリットです。出力が1W以上の無線機を使用する場合、総務省に無線局免許状、または登録状を申請しなければなりません。

もし届出をしなかった場合、電波法第110条違反となり、100万円以下の罰金、または1年以下の懲役を科されます。無線局免許状、または登録状の申請をするためには、申請書や添付資料の用意をはじめ、煩雑な手続きや準備をしなければなりません。

一方、IPトランシーバーは電波を直接飛ばすタイプの無線機ではないため、無線局免許状、または登録状を申請せずに使用できます。無線機本体を用意するだけですぐに使えるようになるのは、大きなメリットといえるでしょう。

デメリット

通信範囲の広さをはじめ、さまざまなメリットが存在するIPトランシーバーですが、一方で以下のようなデメリットも存在します。

  • ・山奥だとつながらないことがある
  • ・コストが高くなる可能性がある

それぞれのデメリットについて、以下で詳しく解説します。

デメリット1:山奥だとつながらないことがある

デメリットのひとつとして、山奥だとつながらない可能性がある点が挙げられます。すでに説明しているように、IPトランシーバーは携帯電話網やWi-Fiを利用して通信を行う通信機器です。

しかし、山奥のように、基地局の設置が制限される場所では、通信そのものができない場合があります。さらに、通信しにくくなるのは、山奥だけではありません。

たとえば、地震をはじめとする災害が発生した際、被災地にいる親戚や友人の安否確認をするために携帯電話の通信回線が混雑しますが、このとき携帯電話網を利用しているIPトランシーバーもつながりにくくなります。山奥や通信回線が混雑しやすい場面では、電波を直接飛ばす方式を採用している無線機の方がよいでしょう。

デメリット2:コストが高くなる可能性がある

コストが高くなる可能性がある点も、見逃せないデメリットです。IPトランシーバーは、ほかの無線機と異なり月々の通信料を支払わなければなりません。

使用する環境次第では、IPトランシーバーの強みを十分に発揮できないだけでなく、かえってコストが増大してしまうケースも考えられます。ランニングコストを抑えたい場合は、ほかの無線機の利用も検討した方がよいでしょう。

IPトランシーバーの種類

IPトランシーバーの種類

IPトランシーバーには、以下の3種類が存在します。

  • ・ハンディタイプ
  • ・車載型
  • ・IP無線アプリ

以下では、それぞれの種類の使い方や特徴について解説します。

種類1:ハンディタイプ

ハンディタイプは、手に持って使用するオーソドックスな種類の無線機で、携帯性に優れている点が特徴です。スマートフォンのように気軽に持ち運びやすく、屋内から屋外まで活躍してくれます。

サイズ感が小さいため、耐久性に不安を覚える方も一定数いますが、近年は耐久性に優れた機種も登場しているため、安心してください。バッテリーがどの程度長持ちするかは機種によって異なりますが、12~20時間程度が目安です。

ハンディタイプのIPトランシーバーは、さまざまな場面で活用できます。とくに、フェスやスポーツ大会をはじめとする、広範囲で実施される大型イベントで重宝されます。

従来の無線機は、通信範囲内の人間としか連絡が取れません。一旦ほかのスタッフに連絡を入れ、遠隔地にいるスタッフに代わりに連絡してもらう方法もありますが、効率的とは言い難いです。

しかし、ハンディタイプのIPトランシーバーであれば、スマートフォンが使用できる場所なら距離が離れていても問題なくやり取りができます。

種類2:車載型

車載型は、車両に搭載して使用するタイプの無線機です。車を運転しながらスマートフォンで通話をすることは、道路交通法で禁止されています。

しかし、車載型のように、ハンズフリーで使用できるタイプの無線機は、道路交通法の対象外です。そんな車載型は、長距離移動が必要な場面で活躍してくれます。

たとえば、トラックで全国各地へ物資を届ける配送業において、効率よく業務を進めるためには本部からの指示が必要不可欠です。車載型であれば、運転をしながら本部と密に連絡が取れるため、ほかのドライバーにトラブルが発生したときや、急な配達が入ったときも、スムーズに対応できます。

また、最近の車載型はGPS位置管理システムを備えた製品も多いです。どのドライバーが現在どこにいるのか把握できれば、物資の到着時刻を予想して顧客に連絡したり、渋滞情報をもとに最適なルートを伝え効率的な配送を実現できたりします。

種類3:IP無線アプリ

最近では、IP無線アプリも登場しています。使い方はシンプルで、スマートフォンにアプリをダウンロードするだけです。

無線機本体を購入する必要がなく、利用するときはとくに登録も必要ないため、気軽に使用しやすい点がメリットとして挙げられます。また、アプリによっては通話以外にチャットや音声録音などの機能が搭載されており、使い方の幅も広いです。

一方で、スマートフォンの充電が切れてしまうと使用できなくなる点がデメリットとして挙げられます。ハンディタイプや車載型と比較すると、長時間の使用にはあまり向いていないため、予備のバッテリーを用意するなどの対策が必要不可欠です。

また、耐久性にも不安があります。無線機のなかには、屋外での使用を想定している機種もあり、高所から落下しても問題なく使用できる耐久性を備えているものも多いですが、スマートフォンには無線機ほどの耐久性はありません。

過酷な環境で使用すると破損のリスクが高まるため、業務用として本格的に無線機を導入する場合は、やはりハンディタイプや車載型がよいでしょう。

IPトランシーバーの料金相場

IPトランシーバーの料金相場

IPトランシーバーを導入するにあたって、どの程度費用がかかるか気になっている方は多いでしょう。料金相場は、購入する場合とレンタルする場合で異なります。

具体的な両者の料金相場の違いは、以下のとおりです。

購入する場合

購入する場合、月額利用料のみならず本体購入費用を支払わなければなりません。機種によって金額が変動しますが、本体の購入費用の相場は6~10万円程度に落ち着くケースが多いです。

なお、月額通信料は1,500~2,500円程度が相場になります。どうしても初期費用は高くなりますが、長期的に使用することを考えるとレンタルより安く済む可能性もあるため、よく考えてから購入するか決めましょう。

レンタルする場合

無線機本体をレンタルする場合の相場は、一泊二日程度なら3,000~6,000円、一ヶ月レンタルの場合は、月々10,000~15,000円程度のため、購入する場合よりも初期費用を抑えやすいです。また、最新機種の利用ができる、メンテナンスの手間がかからないなどのメリットもあります。

ただし、長期的にはコストがかさむ可能性がある、返却の手間がかかるなどのデメリットがある点に注意が必要です。

IPトランシーバーの選び方

IPトランシーバーの選び方

無線機を選ぶ際は、どのような場面で使用するか考えて決めましょう。無線機は、機種によって得意分野が異なります。

たとえば、広範囲での使用を想定している場合は、通信範囲が広い機種を選ぶことをおすすめします。工事現場をはじめ過酷な環境での使用を想定している場合は、無線機本体の耐久性に定評がある機種を選択しましょう。

また、ランニングコストも無線機選びで考慮すべきポイントです。イベントをはじめ、使用する期間があらかじめ決まっている場合はレンタルを、長期間無線機を使用することを想定している場合は思い切って本体を購入することをおすすめします。

株式会社ジャパンエニックスでは、全国で通信が可能なトランシーバーを販売・レンタルしております。トランシーバーをお探しの方は、ぜひお問い合わせください。

まとめ

以上、IPトランシーバーの特徴をはじめ、種類や料金相場について取り上げてきました。IPトランシーバーは従来の無線機にはない強みを多数兼ね備えており、前向きに利用を検討している方もいるでしょう。

無線機の購入やレンタルを検討している方は、ぜひジャパンエニックスにご相談ください。ジャパンエニックスのレンタルサービスは、機器の貸し出しだけでなく、設営や機器の使い方の説明、さらには周波数の管理や現場での配布・回収までサポートいたします。

無線機が故障、破損したときのサポートも充実しており、長く安心して無線機を使用したい方にとくにおすすめです。詳細情報を知りたい方は、弊社ホームページをご覧ください。

お客様に最適な無線機をご提案することも可能ですので、ぜひお気軽にお問い合わせください。

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