無線機の利用中、ノイズが入ってしまいお困りではないでしょうか。ノイズが大きい場合、通信相手の音声がクリアに聞き取れず、連絡手段として適切に機能しない可能性があります。
本記事では、無線機の使用中に発生するノイズを抑える方法を解説します。本記事を通じて複数のノイズ対策を理解し、無線機での通信を快適に行いましょう。
何かご不明な点がございましたら、お気軽にお問い合わせください。
【無線機ノイズ対策】ノイズとは
ノイズとは、本来の目的とは異なる電圧や電流、信号のことで、通信や電子機器の性能を低下させる要因になります。
ノイズの種類は多岐にわたり、利用される分野やアプリケーションによって異なります。具体的に、無線通信分野では電磁波の干渉が、スイッチング電源ではスイッチング時に発生するリンキングが代表的なノイズです。
ノイズには異なる呼び方が多く存在しており、たとえばトランジスタの基本ノイズのひとつである「1/fノイズ」は、フリッカーノイズやピンクノイズと呼ばれることもあります。サージとスパイクは過渡電圧ノイズの一種で、持続時間によって分類されています。
ノイズは基本的に不要なものであり、問題が発生した場合には排除や低減が求められます。しかし、ノイズの対策はその性質に依存するため、種類ごとに適切な対策を講じることが重要です。
信号伝送の場合、必要な信号とノイズの分離が難しいことも多いため、許容範囲内で対処することが求められます。
ノイズ対策の第一歩は、ノイズの種類と性質を理解することです。まず、ノイズには「自然ノイズ」と「人工ノイズ」があります。
簡単に説明すると、自然ノイズは自然界に存在するノイズで、宇宙からの電磁波や落雷によるものが含まれます。一方、人工ノイズは人間が作り出した電化製品などから発生するノイズです。
ノイズ対策を効果的に行うために、ノイズの種類と性質を正確に把握し、それぞれに応じた対策を理解する必要があります。ここからは、2種類のノイズの詳細を解説します。
種類1:自然ノイズ
自然ノイズとは、自然界に存在する電磁波や放射線などによるノイズです。代表的なものに、宇宙から降り注ぐ電磁波や放射線、落雷による雑音、太陽フレアが発生させる太陽雑音があります。
自然ノイズは無線通信に影響を与えることが多く、トランシーバー使用時に「ザー」というノイズが聞こえる場合は、自然ノイズが原因となっている可能性があります。
種類2:人工ノイズ
人工ノイズとは、人間が作り出した電化製品などから発生するノイズを指します。日常生活で馴染みのあるものでは、電子レンジ、テレビ、パソコン、スマートフォンなどが挙げられます。
たとえば、テレビにラジオを近づけると「ザー」というノイズが聞こえることがありますが、これはラジオがテレビからの人工ノイズの影響を受けているためです。ほかにも、Wi-Fi利用中に電子レンジを使用することにより、電子レンジの人工ノイズによってWi-Fiが不安定になる現象が挙げられます。
その他具体例として、テレビ内部のスイッチング電源や高速CPU、画像処理LSIなどから発生するスイッチングノイズや高速デジタル信号に起因するノイズなどが挙げられます。無線機も同様であり、日常的にこのような人工ノイズの影響を受けています。
【無線機ノイズ対策】考えられる原因
無線機の使用時に発生するノイズ対策をするために、まずはノイズが発生する原因について理解しなければなりません。ノイズが発生する主な原因は、以下のとおりです。
● キャリアセンスによる影響
● 通信可能範囲を超えている
● 周囲の電波や電磁波による影響
● 無線機自体の不具合
いずれのパターンもノイズが発生しやすいため、ひとつずつ対策していきましょう。なお、使用している無線機によって特徴が異なり、すべてに該当するわけではないため、注意しましょう。
原因1:キャリアセンスによる影響
特定小電力無線や 簡易業務用無線の登録局では、混信を防ぐために「キャリアセンス機能」が備わっています。キャリアセンス機能とは、同じチャンネルがすでに使用されている場合、送信ボタンを押しても電波を送信しないようにするものです。
そのため、受信ランプが点灯しているときに送信しようとしても送信できません。これは電波法によって規定された措置であり、ほかの通信と干渉しないようにするためのものです。キャリアセンス機能があるため、混信せずに快適な無線通信を実現できています。
原因2:通信可能範囲を超えている
無線機には、種類によって通信可能範囲に限界があります。通信できる範囲の限界に近づくと、受信する電波が弱くなり、ノイズが発生しやすくなります。
無線機同士の距離が遠く離れると、ノイズの原因となるほかの電波や電磁波と接触する機会が増え、結果としてノイズが発生する確率が高まります。
とくに、障害物が多い市街地や都市部ではノイズが顕著になります。さらに屋内での使用時は、建物の構造や障害物による影響など、建物内の環境によっても大きく左右されます。
通信品質を維持するためには、トランシーバーの通信範囲を理解し、適切な距離で使用することが重要です。
原因3:周囲の電波や電磁波による影響
無線機の使用中でノイズが発生する原因のひとつに、周囲の電磁波やほかの電波の影響があります。これは「電波干渉」と呼ばれており、複数の電波が互いに干渉し合うことで通信品質が低下する現象です。
電波は、無線機だけでなく多種多様な電子機器で利用されているため、電波を使っている人が多い環境では電波干渉が起こりやすくなります。その結果、無線機の電波とほかの電波が衝突してノイズが生じます。
こうした電波干渉を避けるためには、周波数の変更や、干渉源から距離を取るなどの対策が必要です。
原因4:無線機自体の不具合
無線機の使用時にノイズが発生する場合は、必ず無線機自体の不具合も疑いましょう。電池の消耗や誤操作、アンテナやアクセサリ類のコネクタが外れているなど、基本的な不具合がノイズの一因として考えられます。
上記のポイントを確認しても問題が解決しない場合は、無線機本体の故障が原因である可能性もあります。その場合は、購入またはレンタルした販売店に問い合わせ、修理や交換などの対応を依頼しましょう。
無線機ノイズの対処法
無線機のノイズ対策は、ノイズの種類に応じて異なります。自然ノイズは、宇宙から降り注ぐ宇宙線や太陽フレアによって引き起こされるため、対処法が限られます。そのため、自然ノイズに対しては、影響の少ない場所へ移動する以外に効果的な方法はありません。
しかし、人工ノイズは人間が作り出した電化製品などから発生するため、比較的簡単に対処できます。ここからは、以下3つの原因で発生しているノイズへの対処法を解説します。
● キャリアセンスによる影響の場合
● 通信可能範囲を超えている場合
● 使用用途にあわせた無線機を選択
ノイズの原因を特定し、必要な対策を講じることで、無線機の通信品質を向上させられます。
対処法1:キャリアセンスによる影響の場合
キャリアセンスによる混信防止の影響で送信できない場合、まずは周波数が空くのを待つことがひとつの方法です。しかし迅速に対応するためには、ほかの周波数に切り替えるのが有効です。
ほかの周波数を利用する際には、すでにチャンネルを使用している方がいるか確認し、応答がないことを確かめましょう。もし応答があれば、その周波数は他者が使用しているため、ほかの空き周波数を探さなければなりません。
このように確認を取ることで、混信を避けてスムーズな通信が可能となります。
対処法2:通信可能範囲を超えている場合
通信可能な距離を超えている場合は、中継器を導入するか、より出力の高い無線機に買い換えることで対処が可能です。
中継器を使用することで電波の到達範囲を広げ、遮蔽物を避けられます。出力の高い無線機に買い換えることで、通信範囲を拡大し、安定した通信を実現することが可能です。
上記の対策により、ノイズの問題を効果的に解消できます。
対処法3:使用用途にあわせた無線機を選択
無線機には多様な種類があり、使用用途に応じて適切なものを選ぶことが重要です。主な種類として、以下のものがあります。
● 業務用無線機
● IP無線機
● 特定小電力トランシーバー
● 簡易業務用無線機
● デジタルMCA無線機
業務用無線機は、警察や消防、公共機関などで利用される無線機です。最大で10~20km の広範囲で通信が可能で、公共性の高い用途に適しています。また、使用には免許や登録が必要です。
IP無線機は、携帯電話会社のデータ回線を利用して通信する無線機です。物理的な距離に関係なく通信が可能で、携帯キャリアのエリア内であればどこでも使用 できます。免許不要で、初期投資が少なく済むのが特徴です。
特定小電力トランシーバーは、電波の出力が小さく、通信距離が最大で200m程度 に限定されます。免許や資格が不要で手軽に使用できるため、アウトドアレジャーや小規模イベントで広く利用されています。
簡易業務用無線機は、1~5km の範囲での通信が可能です。手続きも簡単なため、さまざまな用途で利用されています。デジタル通信方式により、音質がクリアで秘匿性も高く、イベント会場や建設現場など使用されることが多いです。
デジタルMCA無線機は、中継局を介して広域通信を可能にする無線機です。日本全国で通信 ができるため、物流業界や自治体などで導入が進んでいます。低コストで広域通信が可能な点も魅力です。
無線機を選ぶ際には、使用する環境や目的に応じて最適な種類を選択することが重要です。その結果、通信品質が向上し、ノイズの問題を最小限に抑えられます。
まとめ
無線機の使用中に発生するノイズは、通信品質を低下させる要因です。ノイズ対策として、まずノイズの種類と発生原因を理解しましょう。
自然ノイズは宇宙線や太陽フレアによるものであり、対策が難しいため、影響の少ない場所への移動が対策として考えられます。一方、人工ノイズは電子機器から発生するため、原因となる機器の電源をオフにしたり、距離を取ったり、機器を買い替えたりすることで解消可能です。
どの無線機がふさわしいのか判断に迷う場合は、ジャパンエニックスへぜひ一度ご相談ください。無線機の購入はもちろん、レンタルも行っています。無線機のことであればお気軽にお問い合わせください。