無線機を利用する際は、機種によっては免許が必要な場合と不要の場合があります。しかし、どのような無線機に免許が求められるのかを理解していない方は多いでしょう。

本記事では、免許不要で利用可能な無線機について説明します。免許を取得せずに利用できる無線機の種類に加え、免許不要な無線機の条件もあわせて解説します。免許不要の無線機をお探しの方は、ぜひ本記事を参考にしてください。

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そもそも無線機とは

無線機とは、音声通話やデータの送受信を行う装置です。無線通信は電波を利用して情報を伝達する技術で、警備員が使うトランシーバーやレストランのスタッフが使うインカムがその一例です。

無線機は業務内容や使用目的に応じて求められる機能が異なるため、適切な無線機を選択することで効果的に利用できます。無線機には、主に以下2つの機能に違いが存在します。

● 複数の通話方法がある
● 通信エリアの違い

ここからは、上記2つのポイントについて説明します。

複数の通話方法がある

無線機には複数の通話方法があり、一例として以下3つの通話方法が可能です。

● 一斉通話
● グループ通話
● 優先通話

一斉通話は、同じネットワークにあるすべての無線機を対象に、一斉に音声を送信する機能です。1対1を基本とした携帯電話と比較すると、より素早く情報を共有できるため、大規模なイベントや災害時の緊急連絡の際に重宝します。

グループ通話は、同じネットワーク内の無線機をより細かく分類し、特定のコミュニティ内でのみ同時通話をおこなう機能です。

大規模な組織で無線機を運用する際、一斉通話だけでは効率的な運用が難しい場合があるためです。そのような場合に、指示系統ごとにグループ分けすることで、必要な情報を必要な方だけに届けられます。

優先通話は、無線機ごとに優先順位を設定できるIP無線機ならではの特徴的な通話モードです。

一般的な無線通話では、最初に通話ボタンを押した人が発言権を持ちますが、優先通話では、チームリーダーや重要な役割を持つ人の発言を優先的に伝えられます。大切な情報を迅速かつ確実に共有できるのが、優先通話の利点です。

無線機に備わっている複数の通話方法を使い分けることで、業務の効率化や情報共有に大いに役立ちます。無線機の導入を検討する際は、これらの通話機能を理解し、最適な運用方法を見つけることが重要です。

通信エリアの違い

無線機の種類は、通信エリアによって異なります。特定小電力無線機は、比較的短距離の通信に適しており、100〜300m の範囲で使用されることが多いです。

そのため、小規模なイベントや個人での利用に最適です。特定小電力無線機は価格が安価で、免許も不要なため、誰でも簡単に導入できます。

中距離の通信が可能な簡易業務用無線機は、1〜5km の範囲で使用可能です。特定小電力無線機より広いエリアでのコミュニケーションが必要な場合に役立ちます。そのため、建設現場や大規模なイベントなどでの使用が一般的です。

業務用無線機は、さらに広い10〜20km の通信範囲を持ち、信頼性の高い通信が求められる環境で使用されます。具体的には物流や警備業務、緊急サービスなどです。

MCA無線機は、30〜40km の長距離通信に対応しており、遠隔地間のコミュニケーションを必要とする場面で重宝されます。たとえば、遠隔地にある工場間の連絡や広範囲にわたるプロジェクトでの利用が挙げられます。

IP無線機は、携帯電話のデータ通信網を利用するため、全国どこでも通信が可能です。ほぼ携帯電話と同じ範囲で使用できるため、非常に広いエリアをカバーします。全国規模での移動が必要なトラックの運転手や、広大なエリアでの業務が必要なゴルフ場などで利用されています。

このように、無線機の通信エリアは機器の種類によって異なるため、使用目的に応じて最適な機器を選ぶことが重要です。各種無線機の特性を理解し、適切な環境で活用することで、効率的なコミュニケーションを実現できるでしょう。

無線機を使用するのに免許が必要な理由は?

無線機の使用に免許が必要な理由は、電波は有限な資源であり、無制限に利用できるものではないためです。無制限に使用すると、さまざまな電子機器が発する電波が干渉し合い、電波が枯渇するリスクがあります。

電波が枯渇すると、社会インフラに大きな影響を及ぼす可能性があります。このようなリスクを抑えるために、総務省の総合通信局が電波を管理し、免許制度を導入することで、電波の効率的な活用と干渉防止が図られているのです。

さらに、電波の効率的な活用を推進するため、2024年12月1日以降、350MHzおよび400MHz帯のアナログ無線機の使用が禁止されることが決定しています。規制により、電波の適正な管理と利用がしっかりと確保されていることが理解できるでしょう。

具体的には、1W以上の出力のある無線機を使う場合、総務省の総合通信局に免許を申請しなければなりません。免許は一度取得すれば終わりではなく、5年ごとの更新が義務付けられています。

免許を取得する際は、費用がかかることも理解しましょう。たとえば、1W以下の無線機の場合、電子申請で1台あたり2,550円、申請書で3,550円かかります。4Wまたは5Wの無線機の場合、電子申請で1台あたり3,050円、申請書で4,250円の支払いは必要です。

免許が不要な無線機の条件は?

先述のとおり、基本的に無線機を利用する場合は免許を取得する必要があります。しかし、以下の条件に該当する無線機の場合は、免許を取得することなく利用可能です。

● 電波が微弱であること
● 小電力で特定の用途に使用する無線機であること

それぞれの条件について解説します。

電波が微弱であること

免許が不要な無線機のひとつの条件として、発せられる電波が微弱であることが挙げられます。総務省令で定められた無線設備には、ラジコンのリモコンやワイヤレスマイクなどが含まれます。

電波は有限で貴重な資源であり、利用の際は適切な管理が必要です。しかし、極めて微弱な電波まで免許で規制すると、管理コストがかかり過ぎる可能性があります。そのため、微弱な電波を発する機器は、免許の対象外とされています。

つまり、電波が微弱な無線機の理由に免許が不要な理由は、国や利用者にとって合理的で効率的な電波利用を可能にするためです。

小電力で特定の用途に使用する無線機であること

免許が不要な無線機の条件には、小電力で特定の用途に使用されることが含まれます。具体的には、以下の用途が該当します。

● コードレス電話
● 小電力セキュリティシステム
● 小電力データ通信システム
● デジタルコードレス電話
● PHSの陸上移動局
● 狭域通信システム(DSRC)の陸上移動局
● ワイヤレスカードシステム
● 特定小電力無線局

上記の用途に該当する無線機のうち、以下の条件をすべて満たす場合は、免許不要で利用可能です。

● 空中線電力が1W以下であること
● 総務省令で定められた電波の型式および周波数を使用すること
● 呼出符号や呼出信号を自動で送受信する機能や混信防止機能を備えていること
● ほかの無線局の運用に妨害を与えないこと
● 技術基準適合証明を受けた無線設備であること

これらの条件を満たすことで、免許不要で安全に無線機を利用できます。

免許が不要な無線機の種類

免許が不要な無線機の条件を理解しても、具体的にどの無線機を使うべきなのかが見えてこない人もいるかもしれません。そこで、免許が不要な2種類の無線機を紹介します。

● 特定小電力トランシーバー
● IP無線機

上記2種類の無線機であれば、免許を取得せずに利用できるため、すぐに利用する場合は購入を検討する価値があります。

特定小電力トランシーバー

特定小電力トランシーバーは、通信距離が比較的短い無線機です。送信出力が10mW 以下と非常に低いため、ほかの通信機器への干渉がほとんどありません。そのため、購入後すぐに使用できるのが利点です。

特定小電力トランシーバーの通信距離は、周囲に障害物がない場合で200~300m程度 です。一方、建物や遮蔽物の多い場所で使用すると、通信距離は100m程度 に減少します。

通信距離を伸ばしたい場合は中継器を使用することで、最大1,000m程度 まで延長することも可能です。ただし、利用環境によって通信範囲が変わるため、事前に確認しましょう。

特定小電力トランシーバーは、見通しのよい屋外での警備やイベントなどでの連絡に適しています。ほかにも、階をまたがないエリア内での連絡や、広い店舗でのスタッフ間のやり取りにも便利です。さらに、釣りやサバイバルゲームなどのアウトドア活動でも、特定小電力トランシーバーは重宝します。

このように、特定小電力トランシーバーは、低出力と手軽さからさまざまな場面で活用されています。遮蔽物が少なく、短距離での通信が必要な状況において、役立つ連絡ツールとなるでしょう。

IP無線機

IP無線機は、携帯電話のデータ通信網を使い、音声をパケットデータとして送受信する無線機です。

携帯電話の電波が届く場所で使用可能なため、通信距離をほとんど気にせずに全国各地で利用できます。遮蔽物による通信障害やほかの通信機器との混信が発生しないため、安定した通信が可能な点も魅力です。

IP無線機は一斉送信や個別通話が可能であり、機種によってはGPS位置情報サービス機能も利用できます。データ通信網を活用するため、月額制であることがほとんどです。そのため、通信料を意識せずに使えるのもメリットといえます。

IP無線機は、広い通信範囲から多様な状況で活躍します。たとえば、全国を移動するトラックやタクシー、高速バスの運転手同士の連絡で役立つでしょう。

また、広大なゴルフ場での業務や、大規模なマラソン大会、登山イベントなどでも使用されています。さらに、トンネルや地下でも安定した通信ができるため、緊急連絡用としても有用です。

IP無線機はさまざまな環境での利用に適しており、通信距離を気にせず、安定した通信が求められる場面で効果的なコミュニケーションツールとなります。IP無線機を活用することで、業務の効率化や迅速な情報共有を実現可能です。

まとめ

無線機を利用する際、免許が必要な場合がありますが、特定の条件を満たす無線機は免許不要です。たとえば、特定小電力トランシーバーは低出力で、短距離通信に適しており、免許や登録が不要です。IP無線機は携帯電話のデータ通信網を利用して、全国どこでも安定した通信が可能です。

無線機を活用することで、業務の効率化や迅速な情報共有が実現します。使用環境や目的に応じて、適切な無線機を選びましょう。

どのような無線機を選ぶべきかお悩みの方は、株式会社ジャパンエニックスにご相談ください。利用状況や人数、予算などに応じて、お客様に最適の無線機を提案します。また、免許取得までのサポートをおこなっているほか、免許取得後もスタッフによるデータ管理をおこなっています。

購入だけでなく、レンタルも提供しておりますので、まずはお気軽にご相談ください。

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