業務用に無線を利用する際は、免許局か登録局の申請が必要です。申請の手順はそれぞれ異なりますが、似ている部分もあるため区別がつきにくいケースもあるでしょう。
この記事では、免許局と登録局の申請手続きの手順について解説しています。ふたつの違いに焦点をあてながら、申請書の記載内容や注意事項についてくわしく紹介しています。免許局と登録局の違いについて理解したい、手続きの流れについて把握したいという方は、ぜひ一読ください。
何かご不明な点がございましたら、お気軽にお問い合わせください。
免許局と登録局
免許局と登録局の違いを知れば、業務内容や利用用途に合った無線機が選べます。以下で、免許局と登録局の違いについて解説します。
免許局とは
免許局とは、総務省の許可が必要な無線機です。電波には限りがあるため、自由な利用を許可してしまうと混線してしまい、使用可能な電波がなくなってしまう可能性があります。
そこで、無線機1台ごとに電波をわりあて、許可証を出すことで、国が電波の利用を制限または把握することとなりました。免許とは総務大臣の許可証のことをいいます。
免許局が登録局と違う点は、法人などの団体のみの使用に限られる点と、1台につき1つの免許が必要な点、他の団体に貸し出しが出来ない点です。
チャンネル数は登録局の方が多いですが、免許局は法人や団体の使用に特化した無線機のため、その分使用者の母数が減り、結果的に混信するリスクを減らせます。また、ほかの法人や個人にレンタルはできないので注意しましょう。
登録局とは
登録局とは免許が必要ない無線機です。登録申請と開設の届け出のみで、無線機が利用できます。
登録局は免許局とは異なり、事前審査が大幅に簡略化されているのが特徴です。免許状の代わりに登録状が発行されます。
業務使用以外にもレジャーの使用も認められており、他人へのレンタルも可能です。また免許局と異なるのが、キャリアセンスの搭載の義務化です。
キャリアセンスとは、同じチャンネルを使用している無線機の存在が確認された場合に、発信がストップされる仕組みです。発信時にほかの同一周波数のチャンネルの使用を確認した場合は、そのチャンネルは使用できません。混線や干渉を防ぐためにもうけられています。
無線局免許の申請手順
無線局免許を取得するためには総務省総合通信局に申請を行う必要があります。
お手続きや免許管理は慣れない方には難しい箇所もございますので、ジャパンエニックスでの免許の申請サポートサービスもございます。お気軽にご相談ください。
免許サポートについて:https://www.jenix.co.jp/support/license/
以下で、お客様だけで申請する無線局免許の申請手順について解説します。
申請
まずは総務省総合通信局あてに無線局免許申請書を提出します。申請の際には無線設備の設置位置、開設の目的、通信の相手方および通信事項、希望する周波数、無線局の詳細な情報を記載した無線局事項書および工事設計書が必要です。
申請用紙は総務省のホームページからダウンロードできます。また書類申請以外にも、平成16年から電子申請も可能です。どちらか都合のよい方法で申請してください。
また申請時には、無線機1台ずつに対して申込用紙へ収入印紙を貼り付けるため、印紙代が必要です。印紙代は書類申請と電子申請とで料金が異なります。詳しくは総務省のホームページで確認してください。
審査
総務省が申請書を受け付ければ審査がはじまります。審査内容は以下のものです。
・無線局開設工事が電波法の第3章で定めている技術基準に合うこと
・周波数のわりあてが可能であること。
・無線での業務を維持できるような財政的基盤と技術的な能力があること
電波法とは、有限なものである電波を公平または効率よく利用するために定められた法律です。無線局の免許や登録、無線従事者への規制などが書かれています。
交付
申請書類に不備がなければ免許状が交付されます。免許状には有効期限があるため、注意しましょう。
無線局登録申請の手続き
免許局が事前チェック制でしたが、登録局は事後チェック制の手続きとなっています。そのため、免許局よりも手続きが簡略化されています。以下で、無線局登録申請の手続きについて解説します。
また免許の登録に関しても、ジャパンエニックスでの免許の登録サポートサービスがございます。お気軽にご相談ください。
免許サポートについて:https://www.jenix.co.jp/support/license/
申請
まずは総務省へ申請書を提出します。申請書には代表者名、無線設備の規格や設置場所、周波数と空中線電力を記載します。
ほかの免許局との混線を防ぐ措置にかかわる契約を締結している場合は、その契約を記載した書類、無線設備の工事設計も添付する必要があります。無線設備の設置場所(移動する無線局なら、その移動範囲または常設場所)無線設備の工事設計などは、無線局を開設した後に届け出ることになります。
提出先は、無線設備を設置する場所(移動する無線局なら、その移動範囲)の担当先の総合通信局または沖縄総合通信事務所です。書類申請以外にも電子申請も可能です。
審査
審査は各総合通信局または沖縄総合通信事務所のどちらか一方で行われます。審査の内容は以下のとおりです。
・無線設備を設置する場所(移動する無線局なら、その移動範囲)が総務省令で定めている範囲内にあること
・無線機を2台以上一括で登録申請する場合は、無線設備を設置する場所(移動する無線局なら、その移動範囲)が総務省令で定めている範囲内にあること
・重大となる部分について虚偽の報告をしない、また重大となる部分の記載をはぶかないこと
登録
審査が終わると登録が行われます。登録局の場合は、免許局のような落成検査はありません。仮免許の交付はなく、定期検査もありません。登録のスピード感が異なるのが特徴です。
交付
登録が完了すると登録状が交付されます。この登録状は有効期限があり、登録日から5年です。
しかし、登録申請者が5年未満の有効期限を希望した場合や、周波数わりあて計画で使用年数が5年未満の場合は有効期限が異なります。周波数わりあて計画とは、総務大臣が公表しているわりあてが可能な周波数の表です。
届け出
2台以上の無線機の登録を一括で行った場合は、無線局を開設後に届け出をしなければなりません。無線局を開設してから15日以内に、届け出書を無線設備の設置場所(移動する無線局なら、その移動範囲)を担当する総合通信局または沖縄総合通信事務所に提出が必要です。
免許・登録が不要な無線機
免許や登録が必要な無線機は、申請作業や手数料の支払いなど、手続きに手間と時間がかかります。一方、免許や登録が不要な無線機なら申請手続きは必要なく、入手後そのまま利用できます。以下で免許や登録が必要のない無線機、特定小電力トランシーバーとIP無線機を紹介します。
特定小電力トランシーバー
特定小電力トランシーバーは、相手に向かって直接電波を飛ばして通信できる無線機です。送信出力が1Wを超えると、ほかの無線機に影響を与えてしまう可能性があるため、免許や登録が必要です。
送信出力が0.01W以下と出力が低い特定小電力トランシーバーは、手間がかかる申請作業が必要ないため、気軽に無線機を導入したい方にとってメリットが大きいといえます。
通信できる距離は短く、ビルや壁などの電波をさえぎるものがなければ200〜500m以内なら通信が可能です。一方、フロアを複数階にまたいで利用する場合やビルの密集地など、電波をさえぎるものがあると、通信範囲は100m程度になります。
そのため、特定小電力トランシーバーは、電波を遮断するものがない場所での利用が向いています。たとえば屋外や同じフロア内での使用です。
毎月の利用料が発生せず、無線機の価格も比較的おさえられるため、個人店での利用が進んでいます。中継機を使用すれば、1,000m程度まで距離がのびますが、なかには中継機に対応できないトランシーバーもあるため、購入時は入念な確認が必要です。
IP無線機
IP無線機は携帯電話の通信網を使用して通話する無線機です。通信キャリアと契約する必要があるため、毎月の通信料が発生します。しかし料金は固定のため、通信量を気にして利用を控える必要はありません。
携帯電話と同じ感覚で使用できるため、操作時に手間取らず、違和感が少ないのがメリットです。小型で携帯しやすいので、店舗や災害現場などの機動性が求められる現場での使用に向いています。
またIP無線機はキャリアの電波を使用するため、全国で使用できるという特徴があります。大きな大会では、看護師や医者などの医療従事者、観客の誘導員、受付スタッフなど、さまざまな役割を持った方が100人以上かかわっている現場もあり、迅速な情報共有が大切です。
IP無線機ならチャンネル数も多いので、混線のリスクを減らせながら、タイムラグなく通話できます。障害物の影響がないため、建物の密集地や階層をまたいでの利用も可能です。ビルの警備や地域のイベントの利用に最適です。
再免許申請について
無線局の免許の有効期限は5年です。継続利用を検討している場合、免許の有効期限が満了となる前に、再免許申請してふたたび免許証を取得しなければなりません。
ジャパンエニックスのお客様の免許情報は、専門のチームが免許管理データシステムにて大切に管理しています。忘れがちな再免許更新についても、事前に更新のご案内をお送りいたしますので、再免許についてご相談したい事があれば、ジャパンエニックスまでご連絡ください。
再免許管理について:https://www.jenix.co.jp/support/license/administration/
再免許の日まで旧免許状は有効
再免許の日まで旧免許状は有効です。ただし、再免許の申請(簡易業務用無線局の免許局)は、有効期限の3か月以上前に行わなければなりません。免許の更新は有効期限日から6か月以上前は更新ができないため、有効期限から3〜6か月以内に行うようにしましょう。
再免許申請は電子申請もできる
免許申請時と同じく、総務省は再免許申請でも電子申請を受け付けています。
電波利用料の納付
再免許の際は、無線開設時と同じく電波利用料の納付が必要です。納入告知書が通知された際は、金融機関窓口からまたはインターネットバンキングなどから納付しましょう。
まとめ
ジャパンエニックスでは、ご依頼があれば委任状をお預かりし、免許取得までのサポートを行っております。免許取得後は弊社の担当スタッフが責任を持ってデータを管理いたします。
各種無線機の販売も行っており、免許や登録が不要な特定小電力トランシーバー、IP無線機など多数の端末の取り扱いがあります。
業務内容や用途、使用環境によって最適な無線機は異なります。機能性や性能、コストなど、ニーズに合わせてご提案いたします。無線機をご利用の際はぜひ弊社までお声がけください。