IP無線機とIP無線アプリはそれぞれどんな企業に向いている?
業務で使用する無線機を新調または導入する際、豊富な種類の中から何を選定材料とすればよいか、悩まれないでしょうか。必要な機能に対して適切な無線機を選ぶには、無線機の種別を把握することが重要です。
そうした問題の解決策として、本記事ではIP無線機とIP無線アプリを紹介します。日本全国に渡る広いエリアや、屋外での無線機利用を検討中の方や、安定して動作する無線機の導入をお考えの方は、ぜひご覧ください。
何かご不明な点がございましたら、お気軽にお問い合わせください。
IP無線機のメリット・デメリット
IP無線機は、携帯電話のデータ回線を使って相手に声を届ける無線機です。データ回線を使うため、従来の無線機にはないさまざまなメリットがあります。
しかし、場合によっては不便に感じる部分もあるでしょう。そこで、IP無線機のメリットとデメリットを紹介します。
メリット
IP無線機の主なメリットは、以下の3点です。
● 音質がよい
● 日本全国、広範囲に声が届く
● 通信のセキュリティが強い
1点目は、音質がよい点です。IP無線機は従来の無線よりも音質がよいという特徴があります。聞き直す回数を減らせるため、スムーズな会話を実現できます。
2点目は、広範囲に声が届く点です。IP無線機は、携帯電話のデータ回線を用いるため、日本全国にて携帯電話がつながる範囲であれば、どれだけ離れていても通信できます。障害物による通信の途切れもないため、ストレスフリーに使用可能です。
3点目は、通信のセキュリティが強い点です。従来の無線機は、周波数さえ合わせてしまえば通信できるという仕組みでした。
IP無線機の電波は専用サーバーを使用するため、秘匿性があり混信の心配がありません。社外秘の情報が漏えいする心配がなく、思わぬトラブルや損害を未然に防げます。もちろん、従来の無線機と同じように、複数人での通信も可能です。
このように、IP無線機には、従来の無線機にはないメリットが多く存在します。通常業務や災害時でも、通信者同士の距離が離れる場合に活用可能です。
デメリット
続いてはIP無線機のデメリットとして、以下の2点をひとつずつ解説します。
● 月額料金がかかる
● 通信できないエリアがある
1点目は、月額料金がかかる点です。IP無線機は、携帯電話回線を使って声を届けるため回線の使用料がかかります。
料金は、1台につき月額2,000~3,000円ほどです。機種によっては無線機の購入費用もかかります。ハイスペックの機器を購入したり、台数が増えたりするほどコストは大きくなります。
2点目は、通信できないエリアがある点です。IP無線機が通信できるのは、あくまでも契約している携帯電話キャリアの回線が使える範囲内に限り、回線がカバーしていない範囲では利用できません。携帯電話が山岳地帯や地下、トンネルで使えないことがあるように、IP無線機も対応エリア外では通信できない可能性があります。また、契約する携帯電話キャリアによって通信エリアが異なる為、他のキャリアで通信できたとしても、契約キャリアの回線が通っていなければ通信できません。
IP無線アプリのメリット・デメリット
IP無線には、アプリタイプもあります。スマートフォンにIP無線アプリをインストールすることで、スマートフォンを無線機のように扱うことが可能です。
さらにワイヤレスイヤホンと併用すると、ハンズフリーで通信ができます。通信範囲もデータ回線が届く範囲なので、広範囲です。
しかし、こうした特徴のIP無線アプリにも落とし穴があります。そこでこの章では、IP無線アプリのメリットとデメリットをご紹介します。導入の判断材料として、ぜひ参考にしてください。
メリット
はじめに、メリットとして以下の2点を解説します。
● 少ないコストで導入できる
● 会話内容を記録に残しやすい
1点目は少ないコストで導入できる点です。IP無線アプリは、アプリをスマートフォンにインストールするだけで利用できます。アプリや無線機の購入費用が必要ないため、イニシャルコストを抑えられるでしょう。
また、月々にかかるコストも比較的安いです。たとえば、IP無線機の場合は月々2,000~3,000円ほどのランニングコストがかかる一方、IP無線アプリの場合は高額でも1,100円ほどで利用可能です。
2点目は会話内容を記録に残しやすい点です。IP無線アプリには、通信機能以外にもあらゆる便利機能が付属しています。
たとえば、会話の内容を文字に起こしてくれる機能や録音機能です。会話を文章で残せるほか、あとから録音を聴き返せるので、伝達ミスなどのトラブルを未然に防げるでしょう。営業所の連絡が重要なタクシー会社や、観光バス会社などに向いています。
デメリット
IP無線アプリのデメリットは以下の2点です。
● スマートフォンのバッテリーを大きく消費する
● 快適さはスマートフォンのスペックに左右される
1点目は、スマートフォンのバッテリーを大きく消費するという点です。IP無線アプリは、遠距離で連絡を必要とするシーンでよく活用されます。長時間の会話をしたり突然の連絡に備えたりする必要がある場合、アプリを常に開いておかなければいけません。
そうした動作は、スマートフォンのバッテリーを大きく消費してしまいます。定期的に充電を必要とするため、バッテリーの消耗につながり、電気代もかさみます。またバッテリー充電のタイミングをのがせば、肝心のIP無線アプリを使いたいタイミングで、バッテリーがないという事態もありえます。
2点目は、スマートフォンのスペックによって通信の快適さが左右される点です。IP無線アプリはスマートフォンを無線機として利用します。そのため、スマートフォンのスペックが低いと、通信に影響を及ぼすおそれがあります。
解決策としては、高スペックスマートフォンへの買い替えが挙げられますが、高額の機種代が発生します。
IP無線機はこんな企業におすすめ
これまで紹介した内容を踏まえて、IP無線機は以下のような特徴の企業におすすめです。
● 安定して動作する無線機を導入したい
● 広いエリア・屋外でも利用したい
● 無線機に慣れていないが利用したい
ひとつずつ解説します。
安定して動作する無線機を導入したい
IP無線機は、安定して動作する無線機を導入したい企業におすすめできます。なぜなら、障害物による通信の途切れが起きにくいからです。
たとえば、ショッピングモール内の警備で無線機を使うとします。従来の簡易業務用無線機の場合、警備員同士の距離が近ければ問題なく通信可能ですが、フロアが離れたり、屋内と屋外で通信をしたりする場合は、電波を通しにくい障害物やその材質により通信が不安定になってしまう事もあります。
IP無線機は、対応エリア内であれば障害物の有無やその材質などに影響されないため、安定した通信が可能です。
広いエリア・屋外でも利用したい
IP無線機は、日本全国の広いエリアで通信可能という特徴があります。屋外で利用したい企業や、遠方の相手と通信したい企業におすすめです。
たとえば、東京の本社と九州の営業所が連絡をとり合いたい場合、簡易業務用無線機だとつながりませんが、IP無線機は問題なく連絡をとれます。
また、複数人での通話もできるため、営業所と複数ドライバーの間で通話も可能です。スムーズな連携がとれるため、連携ミスによる損失を未然に防げます。こうした背景から、IP無線機は屋外でも利用したい企業におすすめです。
無線機に慣れていない人が利用したい
通常業務で無線機を使っておらず、防災用として利用したい方や、年に数回あるイベントで無線機を利用したいという方々は、無線機に慣れていない方も多いと思います。
その様な方にもおすすめなのがIP無線機です。免許や申請を必要としないため、どなたでも今すぐに利用できます。通信範囲も携帯電話回線と同じ為なじみがあり、使い方も簡単なので、機械操作が苦手な人でもすぐに使いこなせるでしょう。
購入はもちろん、レンタルでもIP無線機は取り扱っていますので、まずはレンタルから試してみるという事も可能です。
IP無線アプリはこんな企業におすすめ
続いてIP無線アプリがおすすめの企業を紹介します。結論は、以下の3とおりです。
● 少しでもコストを抑えたい
● すでにあるスマートフォンを活用したい
● 屋内でのみ利用したい
少しでもコストを抑えたい
IP無線アプリは少しでもコストを抑えたい企業におすすめできます。なぜなら、IP無線機に比べて導入コストやランニングコストが低いからです。
IP無線機は無線機購入費用として数万〜数十万円の初期費用、利用料として1台につき月額3,000円程度のランニングコストがかかります。
一方IP無線アプリは、無線機購入費用はスマートフォンを用いるので不要であり、利用料は1台につき1,000円程度で済みます。年次で見たときの利用料は大きく差が開くため、IP無線アプリは少しでもコストを抑えたい企業におすすめです。
すでにあるスマートフォンを活用したい
IP無線アプリは、すでにあるスマートフォンを活用したい企業におすすめです。IP無線アプリはスマートフォンに専用のアプリを入れることで、スマートフォンを無線機のように利用できます。新たに実機を用意する必要がありません。
また、文字起こし機能などアプリならではの機能もあります。さまざまな方法で会話を記録できるので、あとから会話を聞き返したい場合におすすめです。トラブルが起きた際の状況証拠としても活用できるでしょう。
屋内でのみ利用したい
IP無線アプリは、以下のような特徴があります。
● Wi-Fiを必要とする場合がある
● 充電の消耗が激しい
● 耐久力に欠ける
くわえて、屋内には以下のような特徴があります。
● Wi-Fi環境が整っていることが多い
● 充電できる環境がある
● 破損のリスクが少ない
これらの特徴を踏まえると、IP無線アプリは屋内のみでの利用に向いているといえます。したがって、IP無線アプリは屋内での利用を想定しているときにおすすめです。
まとめ
IP無線機は、従来の無線機にはなかったメリットを多く持っています。たとえば、音質がよい、広範囲通信が可能、セキュリティが強いという点です。
その一方で、携帯電話回線が使えないエリアでは通信できないなどのデメリットもあります。そのため、安定して動作する無線機を導入したい企業や屋外の活用を想定している企業におすすめです。
また、IP無線アプリというサービスもあります。スマートフォンにインストールすることで無線機のように扱えます。
スマートフォンのスペックに快適さが左右され、耐久力に欠けるという点がデメリットですが、文字起こしなどの便利機能を使える特長があります。こうした点から、スマートフォンを活用したい企業や屋内での使用を想定している企業におすすめです。
ジャパンエニックスでは数々の無線機を取り扱っております。防衛省や海上保安庁をはじめとした、さまざまな機関や企業との取引実績があります。現在、無線機の新調を検討されているのであれば、ぜひ公式ホームページよりお問い合わせください。