デジタル簡易無線は、業務中の連絡手段として非常に役立つ無線機であり、さまざまな場面での利用が可能です。たとえば、建設現場や工事現場では、安全性を確保するための迅速な連絡手段として使用されています。また、イベント運営ではスタッフ間のスムーズなコミュニケーションを可能にし、顧客対応や緊急時の対応も迅速に行えるため、多くの業界で重宝されています。

そこで本記事では、デジタル簡易無線の活用シーンを複数紹介します。さらに、デジタル簡易無線の通信距離や最適な無線機の選び方も解説します。デジタル簡易無線の購入やレンタルを検討している方は、ぜひ本記事を参考にしてください。

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デジタル簡易無線とは

デジタル簡易無線は、業務用無線通信の一種で、主にビジネスシーンでの連絡手段として使用されます。デジタル方式とアナログ方式の2種類があり、デジタル簡易無線はデジタル方式を採用しているため、アナログ方式に比べて音質が優れており、盗聴されにくいのが特徴です。

デジタル方式は周波数帯域の利用効率が高く、多くの通信を同時におこなうことが可能です。

通信距離が最大5~10kmある

デジタル簡易無線は、最大で5Wの出力が可能なため、特定小電力トランシーバーに比べてより広いエリアで安定した通信が実現できます。通信距離は通常1kmから5km程度ですが、見通しのよい環境では最大10kmまでカバーが可能です。

さらに、デジタル簡易無線の高い出力により、建物内の異なるフロアや屋内外の通信も問題なく行えます。障害物がある場合でも強力な電波が届き、効率的な通信を可能にするのが強みです。

このような特徴から、広範囲での使用が必要な業務において重宝します。

通信距離は機種や場所によって異なる

デジタル簡易無線の通信距離は、使用する機種や環境によって変動します。たとえば、出力が1W程度の機種では、5Wの機種と比べて通信範囲が短くなります。

さらに、場所や遮蔽物の有無も通信距離に影響を与える一因です。たとえば、都市部のビルが密集しているエリアでは、多数の建物が電波を遮るため、理論上の通信距離が短くなることがあります。

加えて、同じ建物内でも、10階以上離れたフロア間では通信が困難になる場合もあるため、使用する際は注意が必要です。無線機をの選ぶ際は、使用する環境や必要な通信距離を考慮することが欠かせません。

デジタル簡易無線の免許局と登録局の違い

デジタル簡易無線には「免許局」と「登録局」の2種類があります。両者には、使用目的や機能に多少の違いがあるため、それぞれの特徴を理解することが重要です。

簡単に説明すると、免許局は法人や団体が業務用に使用する無線局であり、申請には無線機ごとに個別の免許が必要です。免許局は、多くのチャンネルを持ち、周波数帯が明確に区分されているため、混信線しにくく、安定した通信環境を実現できます。

一方、登録局は個人でも申請が可能で、用途も多種多様です。登録局は比較的新しい制度で、免許を取得せずに使用できることから、手軽に無線通信を始められます。申請手続きも簡略化されており、複数の無線機を一度に登録可能です。

両者の違いを理解し、使用目的に応じて適切な無線局を選ぶことが、効率的な無線通信の実現に役立ちます。

免許局とは

免許局は、業務用無線通信をおこなうために法人や団体が申請する無線局です。個人での申請は認められておらず、法人または団体のみが対象です。

免許局は、複数のチャンネルを利用でき、周波数帯が明確に区分されているため、多くの電波が飛び交う環境でも混信しにくく することなく安定した通信が可能です。

申請は、所有している無線機ごとに個別におこなう必要があり、申請が承認されると使用が許可されます。さらに、免許局は組織に属する人のみが使用できるため、異なる組織に属する人への 無線機の貸し出しはできません。

このように、免許局は業務効率を高めるための信頼性の高い通信手段として利用されています。

登録局とは

登録局は、電波法で定められた免許不要の無線局です。法人や団体だけでなく、個人でも申請可能で、用途も豊富に設定されています。登録局を使用するには、総務省の全国各地にある総合通信局や沖縄総合通信事務所へ申請書類と開設届を提出しなければなりません。

書類の審査には約半月かかり、内容に大きな問題がない場合は、登録状が発行されます。サバイバルゲームなどの個人的な目的でも申請できるうえに、申請者以外の使用も認められているため、複数台を登録することも可能です。

免許局と登録局を比較

免許局極と登録局の違いを深掘りするために、以下7つの項目ごとに両者を比較します。

● 通信距離
● 周波数
● 免許
● チャンネル
● 通信用途
● レンタル
● 印紙代

それぞれの違いを把握し、自分に適した無線機が何かを考えましょう。

比較1:通信距離

デジタル簡易無線の免許局と登録局は、通信距離においてほとんど違いがありません。どちらも市街地では1km以上の通信が可能で、見通しがよい場所では最大で5km以上の通信距離を確保できます。

いずれも高出力の無線機を使用するため、遮蔽物が少ない環境では長距離通信が可能になるためです。
免許局も登録局も、業務用およびレジャー用として広範囲での安定した通信を提供するために設計されています。

そのため、どちらの局も大規模なイベント運営や広い敷地内での作業、さらにはアウトドア活動などで効果的に利用可能です。通信距離の点では、免許局と登録局のいずれを選んでも同等の性能を期待できます。

比較2:周波数

デジタル簡易無線の免許局と登録局は、使用する周波数帯が異なります。免許局が使用する周波数は、以下の表のとおりです。

名称周波数
アナログVHF154.450000~154.610000MHz
デジタルVHF154.443750~154.556250MHz
アナログUHF465.037500~465.150000MHz
468.550000~468.850000MHz
デジタルUHF465.096875~465.153125MHz
467.000000~467.400000MHz
中継用465.034375~465.090625MHz
468.796875~468.853125MHz

一方、登録局が使用する周波数は、以下のとおりです。

名称周波数
デジタルUHF351.031250~351.100000MHz
351.200000~351.631250MHz
上空用351.106250~351.193750MHz

一方、登録局が使用する周波数は、以下のとおりです。

名称周波数
デジタルUHF351.031250~351.100000MHz
351.200000~351.631250MHz
上空用351.106250~351.193750MHz

無線機を購入する前は、用途に適した周波数を持っているかをきちんと確認しましょう。

比較3:免許

デジタル簡易無線の免許局と登録局では、免許の必要性にも違いがあります。免許局は、無線機ごとに個別の免許申請が必要です。各無線機に対して申請を行い、許可を得ることで使用が認められます。

一方、登録局は免許を取得する必要がありません。代わりに、登録申請書と開設届を提出することで利用が可能です。登録局への手続きは比較的簡略化されており、個人や法人、団体など幅広い人が手軽に無線機を利用できるようになっています。

比較4:チャンネル

デジタル簡易無線の免許局と登録局では、利用可能なチャンネル数に違いがあります。免許局は、VHF帯でデジタル19チャンネルとアナログ9チャンネル、UHF帯でデジタル8595チャンネル とアナログ35チャンネルを利用できます。一部の機種にはアナログチャンネルも含まれているため、幅広い通信ニーズに対応可能です。

一方、登録局ではUHF帯のみで、デジタル82チャンネルと上空用15チャンネルが利用できます。そのため、登録局は広範な通信範囲をカバーしつつ、特定の用途に適したチャンネルを提供しています。

比較5:通信用途

デジタル簡易無線の免許局と登録局では、通信用途に相違点があります。免許局は主に業務用通信に限定されており、企業や団体が業務目的で使用することを前提としています。

一方、登録局は業務用通信に加えて、レジャー用通信にも対応しています。個人が趣味やレジャーの目的で利用でき、幅広い用途に対応しているのが特徴です。

柔軟性が高いため、登録局はさまざまな状況で活用可能で、とくにアウトドア活動やイベント運営などで重宝されています。

比較6:レンタル

デジタル簡易無線の免許局と登録局では、無線機のレンタルに関する規定が異なります。免許局の無線機は、個別の免許を必要とするため、他者への貸し出しやレンタルは違法とされています。

免許が特定の法人や団体に対して発行されるものであり、無線機の使用が限定されているためです。
一方、登録局は免許を必要としないため、登録局の無線機はレンタルが合法です。柔軟性が高く、イベントや一時的な利用が必要なシーンでも気軽に活用できる利点があります。

比較7:印紙代

デジタル簡易無線の免許局と登録局では、申請にかかる印紙代が異なります。免許局の場合、出力によって費用が変わります。

4Wまたは5Wの無線機の電子申請には1台あたり3,050円、紙申請には4,250円が必要です。1W以下の無線機の場合は、電子申請で2,550円、紙申請で3,550円の支払いが求められます。 これらはすべて非課税になります。

一方、登録局の申請費用は、包括登録と個別登録で異なります。包括登録の場合、電子申請が2,150円、紙申請が2,900円です。個別登録では、電子申請が1,700円、紙申請が2,300円 かかります。これらもすべて非課税になります。

免許局の申請には高い費用が必要となる一方、登録局の申請は比較的安価で行えるため、用途や予算に応じて無線機を選ぶことが重要です。

デジタル簡易無線の活用シーン

デジタル簡易無線の活用シーンとして、以下4つを紹介します。

● 警備業
● イベント運営
● 物流倉庫
● アウトドア

上記の活用例を参考に、どのようなシーンで役立つのかを具体的にイメージしましょう。

活用シーン1:警備業

無線機は、警備業において不可欠な連絡手段です。警備業務は法的に4種類に区分されており「1号業務施設警備」「2号業務雑踏警備」「3号業務輸送警備」「4号業務身辺警備」があります。

各業務の内容と形態は異なりますが、無線機はどの業務においても重要な役割を果たします。

とくに、ビルやショッピングセンター、工場などで常駐警備をおこなう1号業務施設警備や、イベント会場や工事現場で人や車両を誘導する2号業務雑踏警備では、広い敷地内でも安定した通信が求められます。

デジタル簡易無線は、高い出力と優れた音声品質により、遮蔽物があっても安定した通信ができるため、警備業務の効率と安全性を高めることが可能です。

活用シーン2:イベント運営

大規模な会場や花火大会など、人が多く集まる屋外イベントにおいて、多数のスタッフと迅速に情報を共有するため、無線機は欠かせません。運営本部から屋内外を問わず、的確に通信をおこなうためには、出力の高いデジタル簡易無線が有効です。

一方、アルバイトや臨時スタッフが多いイベントの場合は、登録者以外も利用可能な登録局が便利です。

一度に複数台を登録でき、法人以外でも使用可能であるため、無線機のレンタル利用もできます。レンタルを利用することで、スタッフが多くても登録にかかる手続きを減らせます。

活用シーン3:物流倉庫

インターネット通販の増加に伴い、物流倉庫の需要が急増しています。

多くの物流倉庫は24時間体制で稼働しており、効率的で安全な作業を進めるためには、守衛所や作業スタッフ、事務所、フォークリフト、運送車両との綿密な連携が不可欠です。連携を実現するために、無線機は欠かせない通信手段となります。

デジタル簡易無線のなかでも高出力のモデルは、広大な倉庫内での通信や、遮蔽物が多い環境でも安定した通信環境を提供可能です。

広い敷地内や冷蔵・冷凍倉庫といった電波が届きにくい場所でも、問題なく連絡を取り合えます。物流倉庫の運営がスムーズになり、業務の効率化と安全性が向上します。

活用シーン4:アウトドア

デジタル簡易無線の登録局は、登山やキャンプ、サバイバルゲームなどのアウトドア活動にも重宝します。

特とくに、山でスキーやキャンプする場合は、携帯電話の電波が届かない場所も多く存在するでしょう。しかし、無線機を持っていれば、携帯電話が使用できない場所でも確実に通信可能です。

特定小電力トランシーバーも手軽に使えますが、通信距離が短く、アウトドア活動で使うには限界があるため不安が残ります。

デジタル簡易無線であれば、1km以上 離れた場所でもクリアな音声で通信できるため、安心して利用できます。万が一遭難しても、広範囲に連絡を取れるため、救助されやすくなります。

デジタル簡易無線の選び方

デジタル簡易無線を選ぶ際は、以下4つのポイントを踏まえましょう。

● 給電方式
● 搭載機能
● 技適マークの有無
● 互換性の有無

それぞれのポイントについて解説します。

選び方1:給電方式

デジタル簡易無線を選ぶ際には、給電方式が重要なポイントです。給電方式には、主に電池式と充電式の2種類があります。

電池式は、何日か連続で使用する場合や災害時の通信手段として最適です。電池があればすぐに使用できるため、充電ができない状況でも安心して利用できます。

ただし、業務で毎日使用する場合は、電池の購入が必要になり運用コストが高くなる可能性があります。一方、充電式は電池交換の手間がなく、コストを抑えられるため、充電式は日常的な業務利用に向いています。

同様の給電方式であっても、無線機の種類によって利用できる時間は異なるため、選ぶ際には稼働時間も確認することが重要です。また、稼働時間に合わせて予備のバッテリーや電池を準備すると、より安心して利用できるでしょう。

選び方2:搭載機能

デジタル簡易無線を選ぶ際には、通信距離や周波数などの搭載機能も重要です。機能の事前確認を怠ってしまうと、購入後に期待どおりに機能しないことがあります。

たとえば、雨や粉塵が多い場所で使用する場合は、防塵・防水機能が不可欠です。この機能がない無線機を使用すると、故障のリスクが高まります。そのため、このような環境で使用する可能性がある場合は、防塵・防水機能が高い機種を選びましょう。

防塵・防水機能は「IP」のあとに続く2つの数字で表されており、左側の数字が防塵性能、右側の数字が防水性能を示します。防塵等級は0から6まで、防水等級は0から8までの範囲で示され、数字が大きいほど性能が高くなります。

選び方3:技適マークの有無

デジタル簡易無線を選ぶ際には、技適マークの有無を確認することが重要です。技適マークとは、総務省の「技術基準適合証明」に認定された無線機に付与されるマークであり、国内での使用が認められている証です。

技適マークがない無線機を使用すると、スマートフォンやパソコンなどに悪影響を与えるリスクがあります。

技適マークのない無線機の使用は電波法に違反するため、処罰の対象となります。安価で販売されている無線機のなかには、技適マークが付与されていないものも存在するため、購入前にはきちんと確認しましょう。

選び方4:互換性の有無

デジタル簡易無線を選ぶ際には、互換性の有無も重要なポイントです。無線機は機種ごとにチャンネルが割り当てられており、異なる機種やメーカー間で互換性がない場合は、通話できない可能性があります。

そのため、既存の無線機に追加する場合や将来の買い足しを検討している場合は、チャンネルの互換性を確認することが必要です。

特とくに、異なるメーカーの無線機を使用する場合は、互換性の有無が重要になります。互換性がないと、購入した無線機が使えなくなる可能性があります。購入前に、同じメーカーの製品で統一するか、異なるメーカー間でも互換性が確保されているかを確認しましょう。

まとめ

デジタル簡易無線は、業務用無線通信の一種で、特とくにビジネスシーンでの連絡手段として優れています。適切なデジタル簡易無線を選ぶには、免許局と登録局の違いを理解し、使用目的に合わせた選択が必要です。

両者には、通信距離や周波数、免許の有無、チャンネル数、通信用途、レンタル可否、申請費用などに違いがあるため、項目ごとに比較・検討することで、適切な無線機を選べます。

株式会社ジャパンエニックスでは、社員一人ひとりが「無線機」のエキスパートとして、お客様の利用状況などを踏まえ、スムーズに連携が取れる無線機が何かを提案いたします。

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