両手を空けたまま通信が行えるハンズフリー対応トランシーバーは、野外イベントや運送業、屋内業務といった幅広い業務で使われています。無線機にはさまざまな種類があるため、欲しい無線機がハンズフリーに対応しているかは要チェックです。
この記事では、ハンズフリーに対応したトランシーバー・無線機の種類を紹介します。
記事の後半では、ハンズフリー対応トランシーバー、Bluetooth搭載型トランシーバー、同時通話型トランシーバーそれぞれのメリット・デメリットを解説するので、ぜひ参考にしてください。
何かご不明な点がございましたら、お気軽にお問い合わせください。
ハンズフリーに対応したトランシーバー・無線機の種類
ハンズフリーに対応したトランシーバー・無線機は以下の4種類があります。それぞれの特徴を解説します。
・特定小電力トランシーバー
・デジタル簡易無線機
・IP無線機
・インカム
特定小電力トランシーバー
特定小電力トランシーバーは、最大出力が10mW以下で、周囲の電波を妨害するリスクが少ない無線機です。所有・利用に免許や資格は必要ありません。
遮蔽物に弱く、通信可能距離が他の無線機と比べて短いのが欠点ですが、軽量・コンパクトで携帯性に優れています。バッテリーの持続時間が長く、手軽に使える点もメリットです。また、無線機の中では低コスト寄りなので、初期費用を抑えたい方におすすめです。
デジタル簡易無線機
デジタル簡易無線機は通信距離に優れた無線機です。通信可能距離は最大10kmと、野外のイベント会場や、スキー場、工事現場、警備、物流など、さまざまな場面で使われています。
購入するためには免許局への申請や登録局への登録手続きが必要なので、即座に使いたい場合は、レンタルでの利用がおすすめです。
IP無線機
IP無線機は、大手携帯電話の回線を使用して通信を行う無線機です。通信エリアは全国をカバーしており、音声をパケットデータに変換して通信するため、秘匿性が保たれます。周波数(チャンネル)を使用しないため、混信の心配がなく、セキュリティ性が高いです。
従来の無線機よりも高音質であることや、所有・使用するにあたって免許や資格が不要な点もメリットです。ただし、山岳部や地下をはじめとした、電波の届きづらいところでは通信が難しくなる点には注意しましょう。
インカム
インカムとは、インターコミュニケーションシステムの略称で、送信者と受信者が同時に会話できる無線機です。中継局を利用せずインカム同士で通信を行うため、緊急時でも回線の混雑を気にせず使用できます。
小型でスペースを取らないことから、レストランやホテルのような、コミュニケーションにフロアや扉をまたぐ必要がある現場で重宝します。シンプルな設計で、操作も簡単です。確認作業トランシーバーもインカムに含まれる場合があります。
ハンズフリーに対応したトランシーバーの機能
ハンズフリーに対応したトランシーバーには、VOX機能、Bluetooth、同時通話といった機能が付いています。ここでは、機能の詳細を解説するので、無線機を使い始める前に確認しておきましょう。
VOX機能
VOXとは、VoiceOperationTransmissionの略称で、音声を感知することで、送信と受信を自動で切り替える機能のことです。
トランシーバー(無線機)の通信方式は、自動で送受信を切り替えるVOX機能と、ボタンの手動操作で送受信を切り替えるPTT(プッシュトゥトーク)の2つの方式のどちらかになります。PPT方式はボタンを押した時のみ送信できるため、手が塞がっている状態では会話できません。
ハンズフリーのトランシーバーを探す際は、VOX機能が付いているかどうかチェックしましょう。
Bluetooth
Bluetoothは無線通信の規格の1つで、コードレスイヤホンやスマートフォンなど、身の回りの電化製品に多く採用されています。
従来のコード式のイヤホンは、コードが絡まることでストレスを感じたり、腕や物に引っかかり事故につながったりするリスクがありました。Bluetoothを使えば、コードレスのイヤホン・マイクを接続してそれらのリスクを取り除けます。
同時通話
トランシーバーや無線機と聞くと片方ずつ声を発するイメージがあるのではないでしょうか?実際、PTT方式のトランシーバーは、同時に通話できず、通常の会話よりもテンポが遅くなります。
同時通話に対応していれば、通常の会話と同じように通信できるので、スムーズにコミュニケーションが取れます。
ハンズフリー対応トランシーバーのメリット・デメリット
▶デジタル簡易業務用無線機(免許局)「IC-DU75PLUS」
ここでは、ハンズフリーにのみ対応したトランシーバーのメリットとデメリットを解説します。
メリット | デメリット |
---|---|
・両手が空くので、他の作業をしながらコミュニケーションが取れる | ・ワイヤレスイヤホンには対応していない ・音声以外の物音に反応する場合もある |
メリット
VOX機能を搭載してハンズフリー通話ができると、手が塞がった状態でもコミュニケーションが取れるようになります。作業をしながら指示出しや連絡、共有をできるようになるため、業務効率化につながります。
とくに、建設、飲食、医療といった現場で働く方にとって、手を止めずに作業できるのは大きなメリットです。ボタンを押すPTT方式の無線機で通信しようとすると、ながら作業になってしまうため、事故の恐れがあります。
デメリット
ハンズフリー対応トランシーバー・無線機はBluetooth規格を搭載していないため、有線のヘッドセットを本体に接続しなければなりません。コードレスが魅力のワイヤレスイヤホンを利用できない点は注意が必要です。
また、VOXは音を自動で検知する仕組みなので、思いどおりの挙動をしない可能性があります。音声以外の物音や騒音を拾ってしまう可能性もあるため、感度調整機能が付いたものを選ぶと、それぞれの現場に合わせた調整が可能です。静かな場所では感度を上げて、周囲の音が大きい場所では、感度を下げることで、音声以外の音を拾わないように調節できます。
また、予算に余裕がある場合は、ノイズキャンセリング機能のあるトランシーバー・ヘッドセットを選ぶと、余計な物音を拾わないようにできます。
Bluetooth搭載型トランシーバーのメリット・デメリット
▶デジタル簡易業務用無線機(免許局)「TCP-D261BTE」
ここでは、Bluetooth搭載型トランシーバーのメリットとデメリットを解説します。
メリット | デメリット |
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・コードレスイヤホンに対応しているので、事故を防ぎ、ストレスを軽減する ・スマートフォンをトランシーバーにできる ・音質がよい ・混信しにくい ・免許の登録・取得が不要 | ・ペアリングが面倒 ・スマートフォンのバッテリーの減りが早い ・遮蔽物に弱く通信可能エリアが短い |
メリット
Bluetooth搭載型トランシーバー最大のメリットは、コードレス化を実現できる点です。
有線イヤホンは、絡まることでストレスに感じる、断線によって聞こえなくなってしまう、物や腕に引っかかってイヤホンが外れてしまうといったデメリットがあり、これらをすべて解消するのがコードレス化になります。音質にも優れており、クリアな音声を伝達します。
また、Bluetooth機能を標準搭載しているスマートフォンをトランシーバーにできる点も大きなメリットです。機器の購入費用・手間がかかりません。
電波によって周囲に影響を与える無線機と違って、Bluetoothは使用する機器をペアリングして使うため混信しにくく、免許の登録・取得が不要です。
デメリット
Bluetooth搭載型トランシーバーは、ペアリング作業を行わなければ使えません。従来の無線機でいうところの周波数を合わせる作業に該当します。一度ペアリングしてしまえば楽ですが、新しい端末を登録する際は、ペアリングし直す必要があります。
電源が切れたり、不調を起こしたりするとなかなかペアリングできない場合があり、そういった際はつながるまで待つしかありません。
スマートフォンをトランシーバー化した場合は、バッテリーを激しく消耗するため、充電しながらの使用がおすすめです。また、遮蔽物に弱く通信可能エリアが短いので、一時的に音声が聞こえなくなる場合があります。
同時通話型トランシーバーのメリット・デメリット
ここでは、同時通話型トランシーバーのメリットとデメリットを解説します。
メリット | デメリット |
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・従来の無線機よりもスピーディーに通信できる ・緊急時に対応しやすい ・ハンズフリーで会話できる | ・通信距離が短い ・対応機種が少なく、対応してない機種を利用する場合は単身通話になる |
メリット
重ねての説明になりますが、従来の無線機はPTT方式による片方ずつの通話が当たり前でした。送信側が話の終わりに合図を送って受信者と交代する仕組みだったので会話のテンポが遅く、スピーディーな連絡のやりとりができませんでした。
しかし、同時通話型トランシーバーは送受信側それぞれで異なる周波数を使用するクロスバンド方式を採用することで、携帯電話のようなスピーディーな通話が可能になります。何か緊急のトラブルが発生した際は、相手の終了の合図を待たず、すぐに素早く対応できます。
デメリット
同時通話型トランシーバーは、Bluetooth搭載型のトランシーバーと同じく、通信距離が短い点がデメリットです。機種によって長距離の通信に対応しているものもあるため、用途を考えて最適な機種を選びましょう。
また、同時通話型トランシーバーは機種が少なく希望条件を満たしたものが見つからない可能性があります。同時通話に対応していない機種を使用する際は、従来の無線機のように単身通話になります。
まとめ
ハンズフリーに対応したドライバーは、特定小電力トランシーバー、デジタル簡易無線機、IP無線機、インカムの4種類です。それぞれ通信距離や秘匿性、携帯性など、優れている点が異なるので、業務に適したものを選びましょう。
ハンズフリー対応トランシーバーは、両手を空けて業務効率を上げられます。作業現場で重宝されます。Bluetooth搭載型トランシーバーは、コードレスでクリアな音声が特徴的で、ツーリングや屋内業務におすすめです。
同時通話型トランシーバーは、相手の終了を待たず双方向に会話ができるため、従来の無線機と比べてスピーディーなやりとりができます。
無線機の導入を検討している方は、ジャパンエニックスまでお気軽にお問い合わせください。