レジャー目的での個人利用から業務用途での利用まで、幅広く利用されている無線機ですが、電波法違反の事例が後を絶ちません。違反の内容としては、不法無線局の開設によって摘発される事例が多く見られます。とくに、ダンプカーの無線機や漁業用無線機、船舶用レーダーなど、業務目的での利用における摘発が目立ちます。
すぐに摘発されることはなくても、電波法の違反は時間を経てから必ず摘発されます。実際の事例として、8か月間電波監視を行ったのちに摘発という事例もあります。
この記事では、電波法違反の実際の事例と、電波法を守っていない違法無線機の見分け方についてご紹介します。この記事を参考に、違法無線機を避け、適切な無線機を選択できるようにしましょう。
何かご不明な点がございましたら、お気軽にお問い合わせください。
違法無線機による電波法違反の事例
ここでは、実際の摘発事例をご紹介します。
事例1
事例1:アマチュア無線局を不法に開設した無線従事者に対して行政処分
当局監視課は「コールサインを送出しないで業務通信を行っているダンプカーがいる」旨の申告に基づき、電波監視システムDEURASと不法無線局探索車による監視を続けていたところ、総務大臣の免許を受けずにダンプカーに無線局を開設し運用していた無線従事者を特定。電波法第4条第1項の規定に違反するものとして、17日間の無線従事者の従事停止処分とした。
事例2
事例2:アマチュア無線愛好家の通信を妨害
周波数144MHz帯および430MHz帯の複数の周波数(145.08MHz等)に対して、他の通信の会話の録音や雑音を送信するなどして、早朝の時間帯からアマチュア無線愛好家らの通信を故意に妨害していた旨の申告および当局が実施した電波監視により電波法違反の事実が発覚。61日間、無線従事者としてアマチュア業務に従事することを停止する処分とした。
事例3
事例3:不法無線局の開設者を摘発
自己の所有する漁船に、無線局免許を受けずに漁業用無線機を設置し、不法無線局を開設したとして、高知県高知市在住の男性(72歳)を電波法違反の容疑で摘発した。
違法無線機の特徴
業務用途での利用はもちろん、個人的な趣味としての無線機利用、レジャー目的での利用など、無線機の利用は法人に限らず、個人での利用も増えています。しかし、日本国内で無線機を使用する場合は電波法という法律に則り、ルールの範囲内で正しく利用しなければなりません。
本人に違反の意識があるかどうかに関わらず、電波法を遵守せずに無線機を利用した場合は電波法違反となり罰則を科されるおそれがあります。
また、電波法で定められた無線機の使用方法でない場合や、無線機の規格自体が法で定める規格に適合していない場合も、同様に処罰の対象となります。ここでは、どのような無線機が処罰の対象となる違法無線機となるのかを解説します。
長距離通信が可能
通信距離が10㎞や30㎞まで通信可能と謳われている製品には、注意が必要です。業務用途で使う場合などはとくに、通信距離が長距離であるほど良い製品であると思ってしまいがちです。しかし、こういった製品は、電波法に適合していない可能性があります。
電波法では、電波を放出する強さに一定の規制があります。この規制の範囲内で収まるように電波を放出した場合、日本国内で使用できる無線機の通信距離の目安は50m~最大でも5㎞ほどとされています。
つまり、MCA無線のような特殊な無線を除けば、電波法に適合した免許無しで使える無線機は、20㎞や30㎞といった長距離の通信はできないようになっているということです。
長距離通信を謳っている製品は海外製品が多く、生産国では合法で利用ができても、日本国内では違法となってしまう製品があります。IP無線機を除いては、10㎞以上の通信距離を謳っている製品は日本の法律に適合していない可能性があるため注意が必要です。
相場より安価
一般的な業務用無線機は、価格帯は約60,000円から約120,000円程度であり、通信距離や機能によって価格が異なります。また、特定小電力トランシーバーと呼ばれる短距離通信用のトランシーバーは、一般的には約10,000円から約20,000円程度です。
しかし、通信距離が数十キロ以上と謳われる製品や、適当な通信距離であっても不自然に安価な製品は、何らかの改造が施されていたり、電波法が守られていなかったりする可能性がありますので注意が必要です。
違法無線機の罰則に該当するケース
違法無線機を使用したとみなされるのはどのようなときでしょうか。ここでは、具体的なケースを解説します。
実際に違法無線機を使用した場合
電波法では、電波を放出する出力や規格が詳細に定められています。この規格に合致しない無線機は、違法無線機という扱いになります。
違法な無線機を使用した場合は、電波法の違反となり、1年以下の懲役もしくは100万円以下の罰金刑に処される可能性があります。また、電波法を守られていない無線機の使用により、ラジオやテレビなど他の無線の通信を妨害した場合は、重要無線通信妨害罪として罰せられる可能性があります。
未申請のまま無線機を使用した場合
デジタル簡易無線は、無線を使用するために総務省に申請をし、登録をしなければなりません。登録申請をしなければならない種類の無線機であるにも関わらず、申請をせずに無線機を使った場合は、不法に無線機を使用したとみなされます。
違法無線機を所持している場合
違法な無線機を使って送受信を行っていなかった場合でも、違法無線機を所持し、すぐに電波の発射が可能な状態に復元できる場合は、電波法違反です。
具体的には、電源がオフの状態であったり、アンテナが外されている状態であっても、電源をオンにしたり、アンテナを取り付ければ電波が発射できるのであれば電波法違反となります。
違法無線機を見分ける3つのポイント
ここまでは、どのような無線機が電波法で定める基準に適合していない無線機となるのか、そして、どのようなケースが電波法の違反にあたるかをご説明しました。
では、問題となる違法無線機はどのように見分けたらよいのでしょうか。ここでは違法無線機の見分け方についてご説明します。
周波数
日本では、周波数帯ごとに通信用途が決まっています。たとえば、5250MHz帯は気象レーダー用、2400~2497Mhz帯は無線LANなどのための帯域というイメージです。
混信や誤作動の危険があるため、決められた周波数帯以外での利用は禁止されています。海外製品においては、日本国内の法律に準拠したものもありますが、そうでない製品もあります。そのため、購入時に、使用する周波数帯が適切かどうかを確認することで、問題のある無線機かどうかを見分けられます。
出力
一部の海外製品や、長距離通信ができると謳っている無線機には注意が必要です。長距離通信を行うためには、無線機の電波を発射する力が強くなければなりません。
しかし、電波法では出力の上限が定められているため、過度に高出力の無線機は電波法に違反する可能性があります。無線機の製造国の法律には適合した製品だとしても、日本の電波法に適合しているとは限りません。
改造有無
国内メーカーの正規品であっても、出力を増大させる改造を行っていたり、本来認められた周波数帯以外でも送信が可能になるような細工をしたりすることは、不正改造となります。また、一部の無線機は無線局免許が必要ですが、そういった無線機では無線局情報の入ったROMが無ければ電波を発射できない仕組みになっています。
したがって、認められた周波数帯以外でも通信ができることや、本来ROMが無ければ電波を発射できない仕様であるにも関わらず、ROM無しで電波を発射できると謳っている製品は、不正改造が行われた製品であるため、注意が必要です。
まとめ
本記事では、違法無線機による電波法違反の事例や、違法無線機の見分け方についてご説明しました。無線機は、インターネットでも手軽に購入できる製品です。安価な製品も多数販売されていますが、価格だけに注目して購入することは危険です。
無線機を購入する際は、電波法に適合した製品であるか、違法改造がされていないかを確認するようにしましょう。また、店舗で購入する場合でも、違法無線機が流通している可能性はゼロではありません。店舗で購入する場合も、同様に確認するようにしましょう。
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